プラズマローゲン(特徴)

プラズマローゲンの特徴

「プラズマローゲン」は、人間や動物の体内に含まれる脂質成分であるリン脂質の一種です。

(一般的なリン脂質とは異なる特殊な構造を持ちます)

 人間の体内にあるリン脂質の約2割がプラズマローゲンだと言われており、特に脳や心臓、骨格筋などの酸素の消費量が多い部分に多く存在するとされています。

プラズマローゲン量は
年齢とともに減少

加齢に伴い、血液中のプラズマローゲン量は4割ほど減少していくと考えられています。さらに、アルツハイマー型認知症患者の脳内でプラズマローゲン量が低下することが確認されました。

この報告から、プラズマローゲン量とアルツハイマー型認知症の発症には何等かの関連性があるのではないかとの仮説が生まれ、多くの研究が進められています。

なぜ鶏プラズマローゲンが
優れているのか

由来により異なる構造

プラズマローゲンは、代表的な「ビニルエーテル結合」に加えて、骨格の2位、3位に結合する物質が異なる様々な構造の分子種があり、由来する原料によってその存在割合が異なります。
鶏プラズマローゲンの2位骨格にはオレイン酸とアラキドン酸、3位骨格にはコリンとエタノールアミンが含まれます。

アラキドン酸添加による影響(徳島大学との共同研究)

プラズマローゲンには神経保護効果や神経炎症性疾患との関連性が指摘されています。これらの神経変性疾患の原因としてアラキドン酸が挙げられるため、アラキドン酸により引き起こされる神経毒性に対してのプラズマローゲンの効果について解析し、有効な生理活性脂質としてのプラズマローゲン種を同定しました。

(試験方法)
ヒト由来の脳神経細胞にリン脂質無処理区をコントロールとし、2位骨格がオレイン酸、アラキドン酸、もしくはDHA、3位骨格がコリンのプラズマローゲン(PLS)をそれぞれ添加して一定時間培養しました。その後、さらにアラキドン酸を添加した後の細胞障害性の指標となるLDHの放出量と細胞内エネルギーを示すATP量を測定しました。

アラキドン酸を添加すると細胞障害が起こるため、細胞外へのLDHの放出量が多く(細胞への障害が強く)なります。コントロールを1としたときの相対値により、2位骨格にオレイン酸が結合したプラズマローゲンはコントロールと比較し、細胞障害性を抑制しました(P<0.05)。一方で、DHA結合型はLDH放出量が増加していましたが、アラキドン酸結合型については変化がありませんでした。

ATPは細胞への障害性が大きい程、細胞内での量が減少します。アラキドン酸を添加し6時間後のコントロール区割合を1としたときの相対値にて、2位骨格にオレイン酸が結合したプラズマローゲンは、コントロールと比較しエネルギー量が増加し、ATP産生量の回復傾向が見られましたが、アラキドン酸結合型、DHA結合型については変化がみられませんでした。
3位骨格がエタノールアミンのプラズマローゲンについても同様の評価を実施したが、LDH、ATPともにどちらのプラズマローゲン種にも変化がみられませんでした。

オレイン酸は鶏由来プラズマローゲンに豊富に結合している脂肪酸です。鶏由来のプラズマローゲンは、アラキドン酸添加による神経毒性を減弱させることから、脳の神経細胞を保護する有効な素材であると考えられます。

※本内容は徳島大学との共同研究結果として、日本薬学会第140年会(京都)で発表されました。
標題:アラキドン酸による神経毒性作用を緩和する有効な生理活性脂質としてのプラズマローゲン種の同定

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